Loving Vincent

lovingvincent.com

 

今さっき見て来ました。邦題「ゴッホ最期の手紙」

う〜〜〜〜ん!邦題役するときのなんとも言えない歯がゆさが出ている感じ、、

英語版字幕なし(イギリスなので当たり前だ)。私の英語力ではところどころ理解しきれず、、まあ映画の場面転換とかについていくのがあまり得意ではない人間なので日本語でも全て理解できたん?と考えると微妙だけど英語よりは理解できたでしょうね。しかし良かったと思える映画でした。

 

ゴッホの自殺を巡る物語ということで、美術史かじりとしては見なければならないと思い。しかも世界各国からアーティストを募って、ゴッホ風のタッチの油絵をつなぎ合わせて制作されている、と聞いて。手作業で!?びっくりです。

 


BBC piece about Loving Vincent, the world’s first fully painted feature film,

 

このドキュメンタリーが制作過程がわかりやすかったです。

 

あまりこういう感想を書くことが得意ではないです。それぞれのシーンで思ったことがあるはずなのに映画館で映画見てるとメモったりとかできないし。なんかについて書くなら複数回、はじめ止めずに、次要所要所で止めて…って見てやりたい。でもできないのでわーっとメモ書きます。

私もたまにダウナーなときに落書きするのとか、対人のコミュニケーションをかなり人を選ぶところとか、近視眼的なところとかが、程度は違うけど要素としては持っているものがあって、感情移入がものすごかった。この映画で最も注目すべき点は画面構成なんだろうけど画面の芸術性とは全く関係ないところでボロボロ泣きました。

 

ゴッホ、人を目の前にした言語による感情表現が苦手で、でも感受性が強く、いろんなことを感じて考えてしまうので、テオにたくさんたくさん手紙を書くんだと思うんです。自閉の傾向があるのかなあ、と思わせるような。

私は特に精神的な問題を抱えたことは(軽度の鬱以外)ないけれど、気持ちに波がある人間だから、彼にとても感情移入してしまってしんどかった。特に病院に通う、とかでなくても、生きづらいと思ったことがある人なら、視野が狭くなって、わーって、自分をぐちゃぐちゃにしてやりたいと思って、我に帰るとか(帰れないこともあるけど)、自分のモヤモヤした感情を言語化したくて、友人やカウンセラーや家族の前で躊躇したりうまい言葉が見つけられなかったりしてずっと海の中でもがくような感じだったりする経験があるかと思う。で一生ツイッターの鍵垢に悶々と投稿し続けるわけ…。

(こういうのがないひとに「ま〜私はないわ、はっはっは」とされてしんどかったです、例の旅行の彼女…)

 

例えばゴッホが耳を切ったとき。どうしようもなくて。どうしたらいいかわからないけど頭の中の思考が止まらなくて。例えばゴッホが自分を撃って、ふらふらになって、手についた血を見たとき。ああ、何してるんだろうって思ったと思うんですよ。それで、「自分がいなくなったらみんなにとっていい」みたいなことを言う。これ自殺したいと思ったことある人共感できるんじゃないかなあ。

 

エンディングロールでゴッホや周りの人の言葉が流れるんだけどそれがまた苦しかった。

He felt everything, poor Vincent, 

貧しい彼に画材を工面していたタンギー爺さんの言葉。なんと言うか感受性強めの身として勝手にガンガンに感情移入してしまった…。(ゴッホなんかと比べんなよと言う話)映画の中で別の女性が'Nothing in life is too humble for Vincent'みたいなことを言っていて。世の中の普通の人には感じられない世界がその人にはあって、普通の人からは見向きもされないだろうけどたまにタンギー爺さんみたいに見てくれる人がいる。それは祝福すべきことなのだろうか。poor、とタンギー爺さんは言った。結局それが現実なんじゃないの。天才は羨むべき存在だろうか?何かの分野において突出している人間を羨むことは珍しくないけれど、私はその裏にあるその人しかわからない苦悩を察して勝手に羨むことはできないなあと思う。

 

I want to touch people with my art. I want them to say 'he feels deeply, he feels tenderly' 

これはゴッホ本人の言葉で、エンディングロールの一番最後に流れるんだけど。なんて悲痛なんだろう。どうしたってこの世界は言葉偏重主義だ。人を目の前にして、うまくコミニュケーションできない人間が、自分が魂を削って書いた絵で、私はこう思っているんだよって伝えたいことを、これほどまでに正直に表現できるのかと思った。打ちながらボロボロ泣けてくる。 

 

I am seeking, I am striving, I am in it with all my heart. 

 これはゴッホ本人の言葉だけどエンディングロールにはない。調べたら出てきたので。

自分の本心とやるべきことを割り切ってできる人は強いなあと思う。いろんなことを引きずって、感受性と引き換えに感じ入りやすく、もがくようにして生きている人は、自分の気持ちに正直でないといけない割合がそうでない人よりも高いように思う。自分の気持ちそのままで、ボロボロになりながら生きたゴッホの生き様はこの言葉に集約されているように思う。これはグラデーションの問題だとは思うけど、どちらかというとそっち側にいる人たち(私を含め)に、良い未来はあるのかなあ。