疼く

ピルを一日飲み忘れてしまって、気付いた時に飲んだのだけど手遅れだったようで、じわじわと痛みが日々増した。私費になってしまったけどロンドンに行って日本語対応の病院に行った。卵巣の腫れに変化なし。3^4cmの大きさは、手術をするには小さすぎるし、毎日を健やかに過ごすには大きすぎる。おそらく出血が近づいているから痛むのでしょう、と女医さんは言った。今が耐えどきかな、あと少ししたら治るよの言葉とは裏腹に、少しずつ出血して、諦めた。今から休薬。明後日から旅行。最悪のタイミングだ。市販の鎮痛剤が少しずつ効かなくなっていくのがわかる。下半身が重くなっていく。血が巡らない。体温が調節できない。疼痛。最悪旅行も全てキャンセル。

 

自分の性別に生まれたことを、あまり後悔したことはない。親戚には「お前が男だったら継がせたのに」と言われたけど、幸いにもネット経由で4年前にできた彼氏と今でも付き合っているし、東大で性別バイアスが不利に働いたことはほぼない。地方公立出身の女子はマイノリティとして、出自が不利なために逆に特権的に働いているのではないかと思うこともある。メイクもおしゃれも得意ではないけれど、最近は毛嫌いすることもなくなった。可愛いもの、美味しいものに目がないことも誰にも咎められない。でも、痛み止めを手放せず過ごす毎日や、自分の身体の中から産み出される赤黒いレバーのような血塊を見ていると、痛みやこんな穢らわしいものを生産するために女やってるんじゃないよなと思う。どうして私の生殖器官は、私に害ばかり及ぼすのか。セックスだって卵巣の腫れで激痛。不妊になる可能性も高い。私が死にたいと思ったから?でもそれはQOLを損ねて生き続けることではないし、それなら鬱の時と変わらない。私はこれからいろんなことを諦めていく。生きているだけで。